東京高等裁判所 昭和61年(う)1146号 判決
所論は,本件ビラ貼り行為は可罰的違法性を欠くので,被告人は無罪である,というのである。
そこで検討するに,前掲証拠によると,所論指摘のとおり,本件は,約5センチメートル四方の印刷ビラを,各2枚ずつ(1回は4枚)それぞれ電話ボツクス又は電話キヤビネツトに比較的剥離し易いセロテープを用いて貼付したものであることが認められる。しかしながら,本件ピンクカードの貼付が,営利を目的とした男女交際の勧誘等の宣伝のためのものであること,公衆の電話通話に利用される公衆電話ボツクス等を所有・管理する日本電信電話株式会社等の所有・管理権をみだりに侵害したものであること,公衆電話利用者に著しい不快感を与えるものであること等,前記認定の本件各行為の具体的状況その他諸般の事情に照らすと,それが法秩序全体の見地から許容されるものでないことは明白である。してみると,被告人の本件各行為は実質的違法性に欠けるところはなく,これが可罰的違法性を欠くとする論旨は理由がない。